专利摘要:
免疫グロブリンを細菌培養において産生させる方法であって、(a)第1の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの軽鎖を含む第1のポリペプチドを、前記免疫グロブリンの軽鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;(b)第2の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの重鎖を含む第2のポリペプチドを、前記免疫グロブリンの重鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;(c)再構成された重鎖および再構成された軽鎖を得るように、前記封入体から前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドを回収すること;および(d)前記再構成された重鎖および再構成された軽鎖を、前記再構成された軽鎖および前記再構成された重鎖を主に無傷の免疫グロブリンとしてリフォールディングすることを可能にする条件のもとでリフォールディングすることを含む。
公开号:JP2011514161A
申请号:JP2010548243
申请日:2009-02-25
公开日:2011-05-06
发明作者:レイチェル ハキム,;イタイ ベンハー,
申请人:ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッドRamot At Tel Aviv University Ltd.;
IPC主号:C12P21-08
专利说明:

[0001] 本発明は、そのいくつかの実施形態において、免疫グロブリン組成物およびその製造方法に関連する。]
背景技術

[0002] 様々な抗体が近年では有望な治療用タンパク質になってきており、抗体は、年間売上高が200億ドルを越えるバイオ医薬品の主要なカテゴリーである。相次ぐ技術の波はモノクローナル抗体分野の成長を推し進めており、その成長は近年までは、市場シェアを2008年の終わりまでは追い続けるであろうキメラ抗体(例えば、RemicadeおよびRituxanなど)が優位であった。しかしながら、傾向が変わりつつあり、ヒト化モノクローナル抗体および完全にヒト型のモノクローナル抗体が、組換え抗体フラグメント(例えば、Fab、scFvおよびコンジュゲート化抗体)とともに、20.9%の予測された複合年間成長率でのモノクローナル抗体市場の成長の原動力としてますます重要になる。]
[0003] 組換え抗体フラグメントが今でも着実な進歩を遂げ続けているが、抗体市場は依然として、全長型IgG抗体によって優位が占められる。小さい抗体フラグメントは通常、大腸菌(E.coli)発現システム(Ward、1993;KipriyanovおよびLittle、1999)で産生されるのに対して、全長型モノクローナル抗体は、それらの起源がハイブリドーマに由来することのために、また、分子の複雑さのために哺乳動物細胞培養で従来から産生されている(Simmons他、2002)。全長型IgGのためのいくつかの代替発現システム、例えば、植物における代替発現システム(KoおよびKoprowski、2005)、または、トランスジェニック動物の乳汁における代替発現システム(Houdebine、2002)などが実際に存在するが、これらは普及していない(KipriyanovおよびLe Gall、2004)。]
[0004] 20年以上前に、Cabillyおよび共同研究者ら(Cabilly他、1984、Proc Natl Acad Sci USA、81、3273〜7)が、IgGを産生させるという彼らの試みを報告した。Cabilly他は、低い品質および不良な収量の生成物を得た。このことが、IgGを大腸菌において産生させることが20年以上にわたって実用的でないと見なされた理由の1つであった。]
[0005] 米国特許第6331415号は、免疫グロブリン、または、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変ドメインを少なくとも含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを製造するためのプロセスを開示する。このプロセスでは、重鎖および軽鎖またはそれらのフラグメントの両方をただ1つの細胞において、または、別々の宿主細胞培養において産生させる1つまたは複数のベクターが使用され得る。もたらされた結果(図8Bおよび図9)は明瞭に、臨床適用のためには不適切である不均一な生成物を示す。]
[0006] 近年には、大腸菌における全長型抗体の組み立てが2つのグループによって報告されている(Simmons他、2002;Mazor他、2007b)。両グループは、可溶性の重鎖および軽鎖が可溶性の活性なIgG分子に組み立てられる細菌ペリプラズムへの可溶性の重鎖および軽鎖の分泌を行わせるベクターシステムを使用した。第1の研究(Simmons他(2002)、ならびに、米国特許第6979556号および米国特許出願公開第20070015244号)では、組み立てられたIgGに加えて、部分的に組み立てられた化学種(例えば、重鎖ダイマー、または、軽鎖のみと対形成したそのようなダイマーなど)を含有した抗体調製物が産生された。Simmons他は、結論として、記載された技術が、全長型の非グルコシル化抗体を大腸菌において効率的に産生させるプロセスにおける重要な工程であること、および、収量が、研究目的のための材料を提供するには十分に大きいことを述べた。Simmons他はさらに、治療剤としてのこれらのタンパク質の使用が、力価におけるさらなる増大とともに到来するにちがいないことを示唆した。第2の研究(Mazor他、2007b)では、発現条件のさらなる改善が、分泌のための1組のやや異なるプラスミドを使用して行われた。Mazor他は匹敵する質の様々なIgGを得たが、それらは依然として、部分的に組み立てられた化学種を含有した(Mazor他、2007b、補足的な図4)。Mazor他(2007b)によって報告された産生収量は、低密度振とうフラスコ培養液から、約0.2mg/l〜1mg/lであり、一方、Simmons他(2002)は、40OD550の細胞密度に達した後、さらに80時間にわたって誘導された高密度発酵について、1リットルの培養液あたり150mgのIgGもの大きい収量を報告した。比較することは困難であるが、Simmons他の収量はおそらくは、振とうフラスコ培養液あたり数mgに相当する。]
[0007] 米国特許出願公開第20080305516号は、免疫グロブリン分子、または、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変ドメインの機能的な部分を少なくとも含む免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントをグラム陽性細菌または真核生物細胞において産生させるための方法を教示する。この方法は、重鎖および軽鎖を2つの別個の宿主細胞において産生させ、免疫グロブリンの分子またはフラグメントをエクスビボにおいてリフォールディングすることを含む。この特許出願は、高分子量の生成物をグラム陰性の培養物において得ることにおける困難さのために、グラム陰性細胞における抗体の発現を明らかに教示していない。加えて、米国特許出願公開第20080305516号は、多量の所望されるタンパク質を大腸菌において産生させることの結果は多くの場合、収量および品質を低下させる封入体の形成およびその後のリフォールディングであると述べている。]
[0008] Bossおよび共同研究者ら(1984、Nucleic AcidsResearch、12:3791〜3806)は、マウスIgMの軽鎖および重鎖をただ1つの大腸菌の培養または別々の大腸菌の培養において産生させることを教示する。残存抗体活性のみが、封入体からの再構成およびリフォールディングが行われたときに検出された。示された収量は、放射能に基づく分析でのみ、生成物が特定されたように、不良であった(その図3を参照のこと)。] 図3
[0009] 本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、免疫グロブリンを細菌培養において産生させる方法であって、
(a)第1の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの軽鎖を含む第1のポリペプチドを、免疫グロブリンの軽鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;
(b)第2の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの重鎖を含む第2のポリペプチドを、免疫グロブリンの重鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;
(c)再構成された重鎖および再構成された軽鎖を得るように、封入体から第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを回収すること;および
(d)再構成された重鎖および再構成された軽鎖を、再構成された軽鎖および再構成された重鎖を主に無傷の免疫グロブリンとしてリフォールディングすることを可能にする条件のもとでリフォールディングすること
を含む方法が提供される。]
[0010] 本発明のいくつかの実施形態によれば、そのような条件は約1:2の重鎖−軽鎖モル比を含む。]
[0011] 本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の細菌宿主および第2の細菌宿主のそれぞれがグラム陰性細菌に属する。]
[0012] 本発明のいくつかの実施形態によれば、グラム陰性細菌は大腸菌である。]
[0013] 本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の方法はさらに、免疫グロブリン分子をプロテインA/G/Lで精製することを含む。]
[0014] 本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、2.5のO.D.600を誘導時に有する場合、重鎖の1リットルの細菌培養液あたり少なくとも50mgの精製された免疫グロブリン分子の収量を有する。]
[0015] 本発明のいくつかの実施形態によれば、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドの少なくとも一方が治療用成分を含む。]
[0016] 本発明のいくつかの実施形態によれば、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドの少なくとも一方が確認用成分を含む。]
[0017] 本発明のいくつかの実施形態によれば、主に無傷の免疫グロブリンとしてリフォールディングすることが、免疫グロブリンの少なくとも80%を無傷の免疫グロブリンとして含む。]
[0018] 本発明のいくつかの実施形態によれば、重鎖はγファミリーに属する。]
[0019] 本発明のいくつかの実施形態によれば、軽鎖はκファミリーに属する。]
[0020] 本発明のいくつかの実施形態によれば、軽鎖はλファミリーに属する。]
[0021] 本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、上記で記載される方法に従って産生される免疫グロブリンが提供される。]
[0022] 本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、グラム陰性調製残留物と、少なくとも90%の免疫グロブリンとを含む組成物が提供される。]
[0023] 本発明のいくつかの実施形態によれば、組成物は最大でも10%の免疫グロブリンフラグメントを含む。]
[0024] 本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgEおよびIgGからなる群から選択される。]
[0025] 本発明のいくつかの実施形態によれば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4を含む。]
[0026] 本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫グロブリンは、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト型抗体からなる群から選択される。]
[0027] 本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫グロブリンは二重特異的抗体である。]
[0028] 本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫グロブリンは、霊長類免疫グロブリン、ブタ免疫グロブリン、マウス免疫グロブリン、ウシ免疫グロブリン、ヤギ免疫グロブリンおよびウマ免疫グロブリンからなる群から選択される。]
[0029] 別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。]
図面の簡単な説明

[0030] 本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。]
[0031] 図1は、各種Inclonalの発現ベクターの概略図である。ヒトγ1重鎖を発現させるためのプラスミドpHAK−IgH、ヒトκ軽鎖を発現させるためのプラスミドpHAK−IgL、シュードモナス(Pseudomonas)菌体外毒素A(PE38)の短縮型形態に融合されるヒトγ1重鎖を発現させるためのプラスミドpHAK−IgH−PE38、PE38に融合されるヒトκ軽鎖を発現させるためのプラスミドpHAK−IgL−PE38のマップ。] 図1
[0032] 図2A〜図2Bは、T427Inclonalの大腸菌における発現および精製を示すタンパク質ゲル画像である。図2A−12%SDS/PAGE。レーン1、誘導前の大腸菌培養物。レーン2、誘導された重鎖。レーン3、誘導された軽鎖。レーン4、精製前のリフォールディングされたIgG。レーン5、プロテインA精製されたIgG。M、MWマーカー(kDa)。レーン6、Cetuximab。レーン7、プロテインA精製されたT427Inclonal。レーン1〜レーン5が還元条件下で分析され、一方、レーン6〜レーン7は還元条件下で分析されなかった。タンパク質が、GelCode Blue(登録商標)による染色によって可視化された。図2Bは、HRPコンジュゲート化抗ヒト抗体およびECL発色を使用する免疫ブロットである。レーン配置は、レーンE=Cetuximab(登録商標)を除いて、Aの場合と同様である。]
[0033] 図3は、ゲルろ過クロマトグラフィーによる、T427Inclonal対Cetuximab(登録商標)の分析を示すグラフである。IgGサンプルがTSK3000カラムで分離された。矢印はこのカラムにおける市販サイズマーカーの移動パターンを表す。] 図3
[0034] 図4A〜図4Cは、T427Inclonalの結合特性を示すグラフである。図4Aは、検出がHRPコンジュゲート化抗ヒトIgGによるELISAアッセイによって求められるようなMBP−CD30に対する結合を示す。図4Bは、FACS分析によって求められるようなT427Inclonal抗体の結合を示す。左側パネル−安定なA431/CD30トランスフェクション細胞(左側パネル、1)が、哺乳動物細胞で産生されたchT427−IgGの10nMと、または、T427Inclonalとインキュベーションされた。右側パネル−競合剤としての30倍モル過剰のT427(dsFv)−PE38イムノトキシンの存在下におけるT427Inclonalの結合のFACS分析。結合が、FITCコンジュゲート化抗ヒト抗体を使用して検出された。図4Cは、T427−ZZ−PE38の特異的な細胞毒性を示すグラフである。A431/CD30細胞が、示された濃度のIgG−ZZ−PE38イムノコンジュゲートと、または、T427IgGだけと48時間インキュベーションされた。生細胞の相対的な数が、酵素MTTアッセイを使用して求められた。それぞれの点が、3回の独立した実験において三連で求められる1組のデータの平均を表す。誤差棒がデータの標準偏差を表す。]
[0035] 図5A〜図5Cは、IgG−トキシン融合タンパク質およびSDS−PAGEによるそれらの分離を概略的に例示する。図5Aは、本研究において作製されたinclonalの概略図である。図5Bは、プロテインA精製されたT427Inclonalの非還元条件下での免疫ブロットである。レーン1、IgG;レーン2、IgG−(ジ)−PE38;レーン3、IgG−(テトラ)−PE38。図5Cは、プロテインA精製されたT427Inclonal−PE38融合タンパク質の還元条件下での免疫ブロットである。レーン1、IgG−(ジ)−PE38;レーン2、IgG−(テトラ)−PE38。M、MWマーカー(kDa)。]
[0036] 図6A〜図6Bは、T427Inclonal−トキシン融合タンパク質を特徴づけるグラフである。図6Aは、ELISAにおけるMBP−CD30に対する結合の評価を示す。検出が、HRPコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgGと混合されるマウス抗PE血清により行われる。図6Bは、inclonal−トキシン融合物の特異的な細胞毒性を示す:A431/CD30細胞が、示された濃度の組換えIgG−PE38融合タンパク質と、または、参照物としてのT427(dsFv)−PE38と48時間インキュベーションされた。生細胞の相対的な数が、酵素MTTアッセイを使用して求められた。それぞれの点が、3回の独立した実験において三連で求められる1組のデータの平均を表す。誤差棒がデータの標準偏差を表す。]
[0037] 図7A〜図7Bは、抗EGFR225Inclonalの結合特性を示すグラフである。図7A−全細胞ELISAによって調べられる、A431細胞で発現されたEGFRに対する結合。検出がHRPコンジュゲート化抗ヒトIgGにより行われる。図7B−FACS分析:(b1)A431細胞が、10nMの225Inclonalと、または、コントロールとして使用される市販の抗EGFR抗体Cetuximab(登録商標)とインキュベーションされた。(b2)EGFRを発現しないG43メラノーマ細胞に対する、b1の場合と同様なFACS分析。(b3)競合剤としての30倍モル過剰の225(scFv)−PE38イムノトキシンの存在下におけるA431細胞に対する225Inclonal結合のFACS分析。結合が、FITCコンジュゲート化抗ヒト抗体を使用して検出された。]
[0038] 図8A〜図8Cは、225Inclonal−ZZ−PE38の分析を示すグラフである。図8A−下記細胞株のEGFR発現レベルのFACS分析:A431(濃いライトグレー)、HEK293(濃いダークグレー)およびコントロールのG43(薄いライトグレー)。EGFRレベルが、FITCコンジュゲート化抗ヒト抗体と混合されるCetuximab(登録商標)による染色によって検出された。図8B−(高レベルのEGFRを発現する)A431細胞に対する225Inclonal−ZZ−PE38の細胞殺傷アッセイ。図8C−細胞が、示された濃度のIgG−ZZ−PE38イムノコンジュゲートと、または、IgGだけと48時間インキュベーションされた、(低レベルのEGFRを発現する)HEK293細胞に対する225Inclonal−ZZ−PE38の細胞殺傷アッセイ。生細胞の相対的な数が、酵素MTTアッセイを使用して求められた。それぞれの点が、3回の独立した実験において三連で求められる1組のデータの平均を表す。誤差棒がデータの標準偏差を表す。]
[0039] 図9A〜図9Bは、100%ウシ血清においてインキュベーションされたときの、哺乳動物細胞により産生されるT427の安定性、および、T427Inclonalの安定性の分析を示すグラフである。IgGが100%ウシ血清において30μg/mlの最終濃度に希釈され、示された時間にわたって37℃でインキュベーションされた。それぞれの一部分の、MBP−CD30に対する残存結合活性が、図4Aにおいて記載されるようなELISAによって評価された。]
[0040] 本発明は、そのいくつかの実施形態において、免疫グロブリン組成物およびその製造方法に関連する。]
[0041] 本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施、または、実行される。]
[0042] 組換え抗体が今では診断および治療における中心的な様式になっており、非常に多数のモノクローナル抗体が臨床試験の様々な段階にある。したがって、組換え抗体の産生収量を最大にすることが非常に望ましい。これは、組換え抗体の産生収量を最大にすることにより、費用効率的な産生がもたらされるからである。]
[0043] 本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、封入体として発現されるときの原核生物細胞システムからの免疫グロブリンの産生収量および組み立てを最大にする条件を発見している。本発明の教示に従って作製される組換え抗体調製物は非常に均一であり、それによって、調製物における優勢な化学種が無傷の免疫グロブリンであり、一方、抗体フラグメントの存在は残余にすぎない。本明細書中に記載されるプロセスは、本質的に簡便であり、費用効果的であり、容易に規模拡大することができ、かつ、形質転換、タンパク質の精製およびリフォールディングの間における比較的短い継続期間によって特徴づけることができ、これらのことは、本明細書中に記載されるプロセスを細菌における抗体の工業的製造のために効果的にする。]
[0044] 従って、本発明の1つの局面によれば、免疫グロブリンを細菌培養において産生させる方法であって、
(a)第1の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの軽鎖を含む第1のポリペプチドを、免疫グロブリンの軽鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;
(b)第2の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの重鎖を含む第2のポリペプチドを、免疫グロブリンの重鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;
(c)再構成された重鎖および再構成された軽鎖を得るように、封入体から第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを回収すること;および
(d)再構成された重鎖および再構成された軽鎖を、再構成された軽鎖および再構成された重鎖を主に(即ち、抗体種の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上)無傷の免疫グロブリンとしてリフォールディングすることを可能にする条件のもとでリフォールディングすること
を含む方法が提供される。]
[0045] 本明細書中で使用される「抗体種」は、免疫グロブリンおよび免疫グロブリンのフラグメント(例えば、Fab、重鎖モノマー、軽鎖モノマー、ヘテロマー状の重鎖−軽鎖)を示す。]
[0046] 用語「無傷の免疫グロブリン」または用語「無傷の抗体」は、本明細書中で使用される場合、典型的には免疫化を必要とするこの技術分野において広く知られている方法によって産生されるすべての抗体を示す(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1988を参照のこと。これは参照によって本明細書中に組み込まれる)。抗体は典型的にはモノクローナル抗体である。]
[0047] 完全な抗体または無傷の抗体は、少なくとも、ジスルフィド結合によって相互に連結される2つの重鎖(H鎖)および2つの軽鎖(L鎖)を含む。それぞれの重鎖が、重鎖可変領域(これは本明細書中ではVHと略記される)と、重鎖定常領域とから構成される。重鎖定常領域が3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)から構成される。それぞれの軽鎖が、軽鎖可変領域(これは本明細書中ではVLと略記される)と、軽鎖定常領域とから構成される。軽鎖定常領域が1つのドメイン(CL)から構成される。VH領域およびVL領域はさらに、より保存されている領域(これはフレームワーク領域(FR)と呼ばれる)により中断される超可変性の領域(これは相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)に分割され得る。それぞれのVHおよびVLが3つのCDRおよび4つのFRから構成され、3つのCDRおよび4つのFRはアミノ末端からカルボキシ末端に向かって下記の順で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の最初の成分(C1q)を含めて、宿主の様々な組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介することができる。重鎖における定常ドメインのタイプに依存して、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5つの主要なクラスの1つに特定され、したがって、本発明の実施形態では、これらまたは下記の抗体サブタイプおよび抗体クラスのいずれもが想定される。これらのいくつかはさらに、サブクラスまたはイソタイプに分けられる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2およびIgAsecなど)。軽鎖は「κ」クラスまたは「λ」クラスに属し得る。免疫グロブリンの種々のクラスに対応する重鎖定常ドメインがそれぞれ、「α」、「δ」、「ε」、「γ」および「μ」と呼ばれる。免疫グロブリンの種々のクラスのサブユニット構造および三次元立体配置が広く知られている。IgGおよび/またはIgMは、生理学的/臨床的状況において一般に使用されるものであり、本発明において用いられる抗体の例示的なクラスである。]
[0048] 本発明のいくつかの実施形態の抗体は、ヒト、ブタ、マウス、ウシ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコおよびヒツジなどを含めて、任意の哺乳動物起源に由来し得る。抗体は異種抗体である場合がある。本明細書中で使用される「異種抗体」は、トランスジェニック宿主(例えば、前記抗体を発現する植物など)に関連して定義される。]
[0049] 本発明のいくつかの実施形態によれば、抗体は、単離された無傷の抗体である(すなわち、異なる抗原的特異性を有する抗体以外の細胞物質、および/または、他の化学物質を実質的に含まない)。]
[0050] 本明細書中で使用される「組換え抗体」は、組換え手段によって調製、発現、作出または単離される無傷の抗体を示し、例えば、(a)免疫グロブリン遺伝子(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子)について遺伝子導入されている動物(例えば、マウス)から単離される抗体、または、そのような動物から調製されるハイブリドーマから単離される抗体;(b)抗体を発現させるために形質転換される宿主細胞から単離される抗体;(c)組換え抗体ライブラリーから単離される抗体;および(d)他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う何らかの他の手段によって調製、発現、作出または単離される抗体などを示す。特定の実施形態において、本発明の免疫グロブリンは、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有し得る。他の実施形態において、そのような組換えヒト抗体はインビトロ変異誘発に供することができ、したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVH配列およびVL配列に由来し、かつ、関連づけられる一方で、自然の状態ではインビボにおけるヒト抗体の生殖系列レパートリーにおいて存在しないかもしれない配列を含む。]
[0051] 免疫グロブリンの下記の例示的な実施形態が本発明の範囲によって包含される。]
[0052] 本明細書中で使用される「ヒト抗体」は、フレームワーク領域およびCDR領域の両方が、例えば、Kabat他によって記載されるようなヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する無傷の抗体を示す(Kabat、1991、Sequences of proteins of immunological Interest(第5版、NIH刊行物番号91−3242)を参照のこと)。ヒト抗体の定常領域もまた、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ残基(例えば、インビトロでのランダム変異誘発または部位特異的変異誘発によって導入される変異、あるいは、インビボでの体細胞変異)を含むことができる。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書中で使用される場合、別の哺乳動物種(例えば、マウスなど)の生殖系列に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列にグラフト化されている抗体を含むようには意図されない。]
[0053] 本明細書中で使用される「キメラな免疫グロブリン」は、可変領域が第1の生物種に由来し、定常領域が第2の生物種に由来する無傷の免疫グロブリンまたは抗体を示す。キメラな免疫グロブリンは、異なる生物種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから遺伝子操作によって構築することができる。]
[0054] 本明細書中で使用される「ヒト化免疫グロブリン」は、非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)からの最小限のマウス部分がヒト抗体に移し替えられる無傷の抗体を示す;一般に、ヒト化抗体は5%〜10%がマウス部分であり、90%〜95%がヒト部分である。]
[0055] 一般に、ヒト化抗体は、実質的にはすべての可変ドメインまたは1つ以上の(典型的には2つ)可変ドメインを含み、この場合、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部を、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の一部を少なくとも含む[Jones他、Nature、321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature、332:323〜329(1988);Presta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593〜596(1992)]。]
[0056] 非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法がこの技術においては広く知られている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、輸入残基と呼ばれており、この輸入残基は、典型的には、輸入可変ドメインに由来する。ヒト化は、齧歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに使用することによって、Winterおよび共同研究者の方法に従って本質的には行うことができる[Jones他、Nature、321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature、332:323〜327(1988);Verhoeyen他、Science、239:1534〜1536(1988)]。従って、そのようなヒト化抗体は、実質的に完全でないヒト可変ドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体である(米国特許第4816567号)。実際、ヒト化抗体は典型的にはヒト抗体であり、この場合、一部のCDR残基およびおそらくは一部のFR残基が、齧歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換される。]
[0057] ヒト抗体はまた、ファージディスプレーライブラリー[HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381(1991);Marks他、J.Mol.Biol.、222:581(1991)]を含む、この分野で知られている様々な技術を使用して製造することができる。Cole他およびBoerner他の技術もまた、ヒトモノクローナル抗体を調製するために利用することができる[Cole他、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、77頁(1985);Boerner他、J.Immunol.、147(1):86〜95(1991)]。同様に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されている遺伝子組換え動物(例えば、マウス)に導入することによって作製することができる。抗原投与したとき、ヒト抗体の産生が認められ、この場合、その産生は、遺伝子再配置、組み立ておよび抗体レパートリーを含むすべての点に関してヒトにおいて見られる産生と非常に似ている。この方法は、例えば、米国特許第5545807号、同第5545806号、同第5569825号、同第5625126号、同第5633425号、同第5661016号、および下記の科学的刊行物:Marks他、Bio/Technology、10、779〜783(1992);Lonberg他、Nature、368:856〜859(1994);Morrison、Nature、368:812〜13(1994);Fishwild他、Nature Biotechnology、14:845〜51(1996);Neuberger、Nature Biotechnology、14:826(1996);LonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13:65〜93(1995)に記載されている。]
[0058] 本明細書中で使用される「二重特異的」抗体または「二機能性」抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体を示す。二重特異的抗体を、ハイブリドーマの融合を含む様々な方法によって作製することができる。例えば、SongsivilaiおよびLachmann(1990)、Clin.Exp.Immunol.、79:315〜321;Kostelny他(1992)、J.Immunol.、148:1547〜1553を参照のこと。]
[0059] 本発明において適用されるVH配列およびVL配列は、この技術分野では知られている様々な技術のいずれか1つによって産生される抗体から得ることができる。]
[0060] ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製する方法がこの技術分野では広く知られている(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1988)を参照のこと。これは参照によって本明細書中に組み込まれる)。]
[0061] 典型的には、抗体が、非ヒト動物(好ましくは、マウス)を、所望される抗原または免疫原を含む免疫原により免疫化することによってもたらされる。代替では、抗体が、例えば、Ward他(Nature、341(1989)、544)において開示されるように、免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリーの選択によって提供され得る。したがって、免疫グロブリン抗体が最終的には細菌宿主において発現される限り、どのような抗体作製方法も、本発明の教示に従って想定される。]
[0062] 非ヒト哺乳動物を抗原により免疫化する工程を、マウスにおける抗体の産生を刺激することについてこの技術分野では広く知られているいずれかの様式で行うことができる(例えば、E.HarlowおよびD.Lane、Antibodies:A Laboratory Manual.(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York(1988))を参照のこと)。好ましい実施形態において、非ヒト動物は哺乳動物であり、例えば、齧歯類(例えば、マウス、ラットなど)、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどである。述べられたように、非ヒト哺乳動物は、「ヒト」抗体を産生させるために遺伝子改変または遺伝子操作することができる(例えば、Xenomouse(商標)(Abgenix)またはHuMAb−Mouse(商標)(Medarex)など)。典型的には、免疫原が、必要な場合にはアジュバント(例えば、完全フロイントアジュバントなど)とともに緩衝液に懸濁または溶解される。免疫原の量、緩衝液のタイプおよびアジュバントの量を決定するための様々な方法が当業者には広く知られており、これらの方法は本発明に関して決して限定的ではない。これらのパラメーターは免疫原毎に異なり得るが、容易に明らかにされる。]
[0063] 同様に、抗体の産生を刺激するために十分な免疫化の場所および頻度もまた、この技術分野では広く知られている。典型的な免疫化プロトコルにおいて、非ヒト動物には、抗原が1日目に腹腔内注射され、約1週間後に再び腹腔内注射される。この後、20日目前後での抗原のリコール(recall)注射が、必要な場合にはアジュバント(不完全フロイントアジュバントなど)とともに行われる。リコール注射は静脈内に行われ、数日間連続して繰り返すことができる。この後、40日目でのブースター注射が、典型的にはアジュバントを伴うことなく、静脈内または腹腔内のどちらかで行われる。このプロトコルにより、抗原特異的な抗体を産生するB細胞の産生が約40日後にもたらされる。免疫化において使用される抗原に対する抗体を発現するB細胞の産生がもたらされる限り、他のプロトコルもまた利用することができる。]
[0064] 代替となる実施形態において、免疫化されていない非ヒト哺乳動物からのリンパ球が単離され、インビトロで成長させられ、その後、細胞培養において免疫原にさらされる。その後、リンパ球が集められ、下記で記載される融合工程が行われる。]
[0065] モノクローナル抗体については、その次の工程が、免疫化された非ヒト哺乳動物からの脾臓細胞の単離、および、抗体産生ハイブリドーマを形成するための、そのような脾臓細胞と、不死化細胞とのそれに続く融合である。非ヒト哺乳動物からの脾臓細胞の単離はこの技術分野では広く知られており、典型的には、脾臓を麻酔された非ヒト哺乳動物から取り出すこと、脾臓を小片に切り刻むこと、および、単細胞懸濁物を作製するように、脾臓細胞を脾臓被膜から、細胞ろ過器のナイロンメッシュに通して、適切な緩衝液の中に絞り出すことを伴う。細胞は洗浄され、遠心分離され、(赤血球が存在すれば)赤血球を溶解する緩衝液に再懸濁される。溶液が再び遠心分離され、ペレットにおける残留するリンパ球が最後に、新鮮な緩衝液に再懸濁される。]
[0066] いったん単離され、単細胞懸濁物で存在すると、リンパ球は不死性細胞株に対して融合される。これは典型的にはマウスのミエローマ細胞株であるが、ハイブリドーマを作出するために有用な多くの他の不死性細胞株がこの技術分野では知られている。好ましいマウスミエローマ系統には、Salk Institute Cell Distribution Center(San Diego、Calif.、米国)から入手可能な、MOPC−21マウス腫瘍およびMPC−11マウス腫瘍に由来するミエローマ系統、American Type Culture Collection(Rockville、Md、米国)から入手可能なX63 Ag8653細胞およびSP−2細胞が含まれるが、これらに限定されない。融合が、ポリエチレングリコールなどを使用して達成される。得られたハイブリドーマは、その後、融合されていない親ミエローマ細胞の成長または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含有する選択培地において成長させられる。例えば、親ミエローマ細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を有しないならば、ハイブリドーマのための培養培地は典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含み(HAT培地)、この場合、そのような物質により、HGPRT欠損細胞の成長が妨げられる。]
[0067] ハイブリドーマは典型的には、マクロファージのフィーダー層の上で成長させられる。マクロファージは、好ましくは、脾臓細胞を単離するために使用される非ヒト哺乳動物の同腹子に由来し、典型的には、ハイブリドーマを置床する数日前に、不完全フロイントアジュバントなどにより抗原刺激処理される。様々な融合方法が、Goding、「Monoclonal Antibodies:Principles and Practice」、59頁〜103頁(Academic Press、1986)に記載される。]
[0068] 細胞は、コロニー形成および抗体産生のための十分な期間、選択培地において成長させられる。これは通常、7日〜14日の間である。その後、ハイブリドーマのコロニーが、免疫原/抗原と結合する抗体の産生についてアッセイされる。アッセイは典型的には、比色法によるELISA型アッセイであるが、ハイブリドーマが成長させられるウエルに適合化され得るアッセイはどれも用いることができる。他のアッセイには、免疫沈降および放射免疫アッセイが含まれる。所望される抗体産生について陽性であるウエルが、1つまたは複数の異なるコロニーが存在するかどうかを明らかにするために調べられる。2つ以上のコロニーが存在するならば、細胞は、ただ1つの細胞が、所望される抗体を産生するコロニーを生じさせていることを確実にするために再クローン化し、成長させることができる。ただ1つの明らかなコロニーを有する陽性のウエルが典型的には、1つのモノクローナル抗体のみが検出および産生され続けることを保証するために再クローン化および再アッセイされる。]
[0069] モノクローナル抗体を産生し続けていることが確認されるハイブリドーマが、その後、適切な培地において、例えば、DMEMまたはRPMI−1640などにおいて、より大きな量で成長させられる。代替では、ハイブリドーマ細胞を動物における腹水腫瘍としてインビボで成長させることができる。]
[0070] 所望されるモノクローナル抗体を産生させるために十分に成長させた後、モノクローナル抗体を含有する成長培地(または腹水)が細胞から分離され、それに存在するモノクローナル抗体が精製される。精製は典型的には、ゲル電気泳動、透析、プロテインA−SepharoseまたはプロテインG−Sepharoseを使用するクロマトグラフィー、あるいは、固体担体(例えば、アガロースビーズまたはSepharoseビーズなど)に連結された抗マウスIgによって達成される(これらはすべてが、例えば、Antibody Purification Handbook(Amersham Biosciences、刊行物番号18−1037−46、Edition AC)に記載される。その開示は本明細書により参照によって組み込まれる)。結合した抗体が典型的には、低いpHの緩衝液(pH3.0以下のグリシン緩衝液または酢酸塩緩衝液)を使用することによって、プロテインAカラム、プロテインGカラムまたはプロテインLカラムから溶出され、抗体含有分画物が直ちに中和される。これらの分画物はプールされ、透析され、必要に応じて濃縮される。]
[0071] 抗体のCDRをコードするDNAが、(例えば、抗体(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)従来の手順を使用して容易に単離され、配列決定される。単離されると、DNAは発現ベクターに連結することができ、その後、発現ベクターが細菌宿主細胞にトランスフェクションされる。]
[0072] 免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドをコードするDNA配列が、組換えDNA手法に都合よく供され得る、任意のベクターであり得る別々の組換えベクターに独立して挿入される。ベクターの選択は多くの場合、ベクターが導入されることになる宿主細胞に依存する。]
[0073] 具体的な実施形態によれば、重鎖コード配列および軽鎖コード配列の少なくとも一方はさらに、治療用成分または確認用成分の、読み枠を合わせた配列を含み、その結果、(例えば、治療適用において、例えば、ガン細胞を殺すことなどにおいて使用される)イムノトキシンを生じさせるようにされ、また、(例えば、診断適用において使用される)免疫標識を生じさせるようにされる。したがって、本発明の実施形態によれば、重鎖が、そのような成分の、読み枠を合わせた融合を含み、または、軽鎖が、そのような成分の、読み枠を合わせた融合を含み、または、重鎖および軽鎖の両方が、そのような成分の、読み枠を合わせた融合を含む(図5Aを参照のこと)。]
[0074] 確認用成分は、結合対のさらなる構成要素とのその相互作用を介して特定可能である結合対の構成要素、および、直接に可視化される標識であり得る。1つの例において、結合対の構成要素は、対応する標識された抗体によって特定される抗原である。1つの実施形態において、標識は、蛍光性タンパク質、または、比色反応を生じさせる酵素である。]
[0075] 下記の表1は確認用成分の配列の例を提供する。]
[0076] 治療用成分は、例えば、細胞毒性成分、毒性成分、サイトカイン成分および二重特異的抗体成分であり得、それらの例が下記において提供される。]
[0077] 下記の表2は治療用成分の配列の例を提供する。]
[0078] そのような融合はまた、化学的なコンジュゲート化を使用して、(すなわち、組換えDNA技術によることなく)達成され得ることが理解される。]
[0079] ベクターの構成成分には一般に、下記の1つまたは複数が含まれるが、それらに限定されない:プロモーター、複製起点、1つまたは複数の選択マーカー、および、転写終結配列。したがって、ベクターは、自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外の実体として存在し、その複製が染色体の複製とは無関係であるベクター(例えば、プラスミド)であり得る。代替として、ベクターは、宿主細胞に導入されたとき、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、ベクターが組み込まれている染色体と一緒に複製されるものであり得る。]
[0080] ベクターは好ましくは、免疫グロブリンポリペプチドをコードするDNA配列が、DNAの転写のために要求されるさらなるセグメントに機能的に連結される発現ベクターである。一般に、発現ベクターはプラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、あるいは、両者のエレメントを含有する場合がある。用語「機能的に連結される」は、セグメントがそれらの意図された目的のために協調して機能するように、例えば、転写がプロモーター内で始まり、ポリペプチドをコードするDNA配列を介して進行するように、セグメントが配置されることを示す。]
[0081] 組換えタンパク質(すなわち、重鎖および軽鎖)を封入体(すなわち、染色性物質の核凝集物または細胞質凝集物)として生じさせることができる細菌宿主が選択される。]
[0082] 使用される宿主細胞(例えば、第1の宿主細胞および第2の宿主細胞)は、同一の生物種または異なる生物種に属し得る。]
[0083] 本発明の具体的な実施形態によれば、宿主細胞はグラム陰性細菌から選択される。]
[0084] 本明細書中で使用される「グラム陰性細菌」は、特徴的な染色特性を顕微鏡下で有する細菌を示し、この場合、グラム陰性細菌はグラム染色法の期間中に染色されないか、または、アルコールによって脱色されるかのどちらかである。グラム陰性細菌は一般に、下記の特徴を有する:(i)それらの細胞壁は、(グラム陽性細菌においてはるかにより大きいレベルで存在する)ペプチドグリカンのほんの数層を含む;(ii)細胞が、ペプチドグリカン層の外側にある、(リピドA(コア多糖)およびO−多糖からなる)リポ多糖を含有する外膜によって取り囲まれる;(iii)ポーリンが外膜に存在し、特定の分子に対する細孔のように作用する;(iv)細胞周辺腔と呼ばれる、ペプチドグリカンの層と、二次的細胞膜との間の空間が存在する;(v)S層が、ペプチドグリカンではなく、外膜に直接に結合する;(vi)リポタンパク質が多糖骨格に結合し、これに対して、グラム陽性細菌では、リポ多糖が存在しない。]
[0085] 本発明の教示に従って使用することができるグラム陰性細菌の例には、Escherichia coli(大腸菌)、Pseudomonas、erwinia、および、Serratiaが含まれるが、これらに限定されない。大腸菌以外のそのようなグラム陰性細菌、例えば、シュードモナス属細菌などを宿主細胞として使用することは、シュードモナス属細菌の代謝特性および生理学的特性の両方のために大きい経済的価値をもたらすことに留意しなければならない。特定の条件のもとで、例えば、シュードモナス属細菌は、大腸菌よりも大きい細胞培養密度に成長させることができ、したがって、潜在的により大きい生成物収量をもたらすことができる。]
[0086] ポリペプチドをコードするDNA配列、プロモーター(例えば、構成的または誘導可能)、および、必要な場合にはターミネーター配列をそれぞれ連結し、かつ、それらを、複製のために必要な情報を含有する好適なベクターに挿入するために使用される手順が、当業者には広く知られている(例えば、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor、N.Y.、1989)を参照のこと)。]
[0087] 本発明の教示に従った使用のために好適な細菌発現ベクターの例には、この分野では広く知られているpET(商標)システム、T7システムおよびpBAD(商標)システムが含まれるが、これらに限定されない。]
[0088] 発現ベクターを細菌宿主細胞に導入する様々な方法がこの分野では広く知られており、これらの方法は主に、使用される宿主システムに依存する。]
[0089] 宿主細胞は、同じ培地において共培養することができ、または、別々に培養することができる。]
[0090] 宿主細胞は、多量の組換え重鎖および組換え軽鎖の発現を可能にする効果的な条件のもとで培養される。効果的な培養条件には、組換えタンパク質の産生を可能にする効果的な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素の条件が含まれるが、これらに限定されない。効果的な培地は、細菌が、本発明の組換えタンパク質を産生させるために培養される任意の培地を示す。そのような培地には典型的には、同化可能な炭素源、窒素源およびリン酸源、ならびに、適切な塩、ミネラル、金属および他の栄養分(例えば、ビタミンなど)を有する水溶液が含まれる。本発明の細菌宿主は、所望される量に依存して、従来の発酵バイオリアクター、振とうフラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュおよびペトリ皿において培養することができる。培養を、組換え宿主のために適切な温度、pHおよび酸素含有量で行うことができる。そのような培養条件は当業者の専門的知識の範囲内である。]
[0091] 免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の適切な発現レベルが得られると、ポリペプチドが封入体から回収される。組換えタンパク質を細菌の封入体から回収する様々な方法がこの技術分野では広く知られており、そのような方法は典型的には、細胞溶解、それに続く、変性剤での可溶化を伴う[例えば、De Bernardez−ClarkおよびGeorgiou、「封入体および凝集状態からのタンパク質の回収」、Protein Refolding Chapter 1:1〜20(1991)。同様にまた、「大腸菌におけるInclonalの発現」と題される下記の実施例の節を参照のこと]。]
[0092] 簡単に記載すると、封入体を、効果的な精製戦略を与える簡単な遠心分離によって細胞質タンパク質の大部分から分離することができる。その後、封入体は、尿素(例えば、8M)またはグアニジニウム塩酸塩のような強い変性剤によって、また、時には極端なpHまたは温度を伴って可溶化することができる。変性剤濃度、暴露時間および暴露温度はそれぞれのタンパク質について標準化されなければならない。完全に可溶化される前に、封入体は、混入タンパク質のいくらかを除くために、変性剤および界面活性剤の薄い溶液により洗浄することができる。]
[0093] 最後に、可溶化された封入体を変性条件下でのクロマトグラフィー技術によるさらなる精製に直接に供することができ、または、重鎖および軽鎖が精製前において生来の立体配座にリフォールディングされる場合がある。]
[0094] したがって、再構成/リフォールディングされた重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチド(すなわち、可溶化されている還元されたポリペプチド)のさらなる精製を、リフォールディングの前において、および、代替として、または、加えて、リフォールディングの後において行うことができる。]
[0095] 抗体精製の様々な方法がこの技術分野では広く知られており、本明細書中上記および下記の実施例の節において記載される。IgGを精製するための他の方法が、「親イオウ様(thiophilic−like)相互作用を発現させるシアル酸によりグラフト化される担体でのIgGおよびインスリンの精製」、Hamid LakhiariaおよびDaniel Mullerb、Journal of Chromatography B、第818巻、第1号、2005年4月15日、53頁〜59頁に記載される。]
[0096] 代替として、または、加えて、精製は、確認用成分または治療用成分を介して、(例えば、PE38と結合する抗体カラムを使用して)親和性に基づくことができる。]
[0097] リフォールディング収率を改善するために、再構成された重鎖および再構成された軽鎖は、免疫グロブリン(すなわち、無傷)の形成を最大限にするために選択される比率で提供される。この目的を達成するために、約1:1から1:3まで、1:1.5から1:3まで、1:2から1:3までの重鎖対軽鎖のモル比が提供される。例示的な実施形態において、重鎖対軽鎖のモル比は約1:2である。]
[0098] したがって、上記で記載された方法論の実施形態により、様々な免疫グロブリンがもたらされる。そのような免疫グロブリンはinclonalとも呼ばれる。そのようなinclonalが配列番号1〜配列番号12において提供される。]
[0099] 上記で記載された方法論は、前例のない収量の正しく折り畳まれている高度に精製された免疫グロブリンを原核生物細胞から得るために効率的である。正しい折り畳みを機能的および構造的に調べることができる。活性をアッセイする様々な方法が、下記の実施例の節において詳しく記載される(例えば、抗原認識、細胞殺傷)。]
[0100] 本発明の教示により、2.5のO.D.600を誘導時に有する場合、重鎖の1リットルの細菌培養液あたり少なくとも50mgの精製された免疫グロブリン分子の免疫グロブリン収量がもたらされる。]
[0101] したがって、本発明の実施形態は、(本明細書中上記で記載されるような、例えば、リポ多糖を含むなどする)グラム陰性調製残留物と、少なくとも約70%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の免疫グロブリンとを含む組成物を提供する。]
[0102] 本発明の組成物は好ましくは、20%、15%、10%、5%またはさらにそれ以下を越える抗体フラグメント(例えば、Fab、重鎖モノマー、軽鎖モノマー、ヘテロマー状の重鎖−軽鎖、治療用成分および確認用成分)を含まない。]
[0103] グラム陰性残留物はさらに、この技術分野では広く知られている方法を使用して、(インビボでの)臨床適用のために除くことができる。]
[0104] 所望されるとき、免疫グロブリンは、管理されたインビトロでのグリコシル化に供することができ、この場合、グリコシル化は、Isabelle Meynial−sallesおよびDidier Combes(タンパク質のインビトログリコシル化:酵素的アプローチ、Journal of Biotechnology、第46巻、第1号、1996年4月18日、1頁〜14頁)によって記載される方法に従って行うことができる。]
[0105] 免疫グロブリン、および、免疫グロブリンを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、診断適用および治療適用において使用することができ、また、そのようなものとして、治療キットまたは診断キットに含めることができる。]
[0106] 従って、本発明の組成物は、所望されるならば、有効成分(即ち、免疫グロブリン)を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパック)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用担体に配合された本発明の調製物を含む組成物もまた、上でさらに詳述されたように、示された症状を処置するために調製され、適切な容器に入れられ、かつ標識され得る。]
[0107] 本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。]
[0108] 用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。この用語は、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。]
[0109] 表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、特許請求される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。]
[0110] 本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。]
[0111] 本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。]
[0112] 数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。]
[0113] 本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。]
[0114] 本明細書で使用される場合、用語「治療する/処置する」には、状態の進行を取り消すこと、実質的に阻害すること、遅くすること、または、逆向きにすること、状態の臨床的症状または審美的症状を実質的に改善すること、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状の出現を実質的に防止することが含まれる。]
[0115] 用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。]
[0116] 用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。]
[0117] 明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。]
[0118] 本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。]
[0119] 次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。]
[0120] 本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技術は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら、(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻、Ausubel,R.M.編(1994);Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley & Sons、米国ニューヨーク(1988);Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の第4666828号、同第4683202号、同第4801531号、同第5192659号および同第5272057号に記載される方法;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻、Cellis,J.E.編(1994);「Current Protocols in Immunology」I〜III巻、Coligan,J.E.編(1994);Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methodsin Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);利用可能な免疫アッセイ法は、特許と科学文献に広範囲にわたって記載されており、例えば:米国特許の第3791932号、同第3839153号、同第3850752号、同第3850578号、同第3853987号、同第3867517号、同第3879262号、同第3901654号、同第3935074号、同第3984533号、同第3996345号、同第4034074号、同第4098876号、同第4879219号、同第5011771号および同第5281521号;「Oligonucleotide Synthesis」Gait,M.J.編(1984);「Nucleic Acid Hybridization」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1985);「Transcription and Translation」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1984);「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.編(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCRProtocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」CSHLPress(1996);これらの文献の全ては、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。]
[0121] 一般的な材料および方法
可溶性抗原としてのMBP−CD30の調製。組換えCD30(GENEBANKアクセション番号AAA51947)を大腸菌においてマルトース結合タンパク質融合物として発現させた。ヒトCD30の細胞外ドメイン(全長遺伝子産物の残基51〜残基383)に対応するDNAフラグメントを、テンプレートとしてのプラスミドpHR30HNB[Rozemuller,H.、Chowdhury,P.S.、Pastan,I.&Kreitman,R.J.、ファージディスプレーによるDNA免疫化マウスからの新しい抗CD30scFvの単離および短縮型シュードモナス菌体外毒素との融合によって作製される組換えイムノトキシンの生物学的活性、Int J Cancer、92、861〜870(2001)]をプライマーのCD30(N)−BspHI−FORおよびCD30(N)−NotI−REVとともに使用するPCRによって回収した(これらのPCRプライマーのすべてが下記の表3に記載される)。]
[0122] PCR生成物をBspHIおよびNotIで消化し、pMALc−NHNNベクターにクローン化した(pMALc−NHNNは、MBPコード配列の5’末端でのHISタグの付加によってpMALc−NN[これは最初、Bach,H.他、組換え細胞内細胞質単鎖抗体のための分子シャペロンとしての大腸菌のマルトース結合タンパク質、J Mol Biol、312、79〜93(2001)に記載された]から改変された、MBP融合タンパク質の発現のためのプラスミドである)。タンパク質を本質的には他のMBP融合タンパク質について記載される通りに産生させ、精製した[Bach,H.他、組換え細胞内細胞質単鎖抗体のための分子シャペロンとしての大腸菌のマルトース結合タンパク質、J Mol Biol、312、79〜93(2001)]。]
[0123] 組換え225(scFv)−PE38イムノトキシンの調製。抗EGFRmAb225の可変ドメインを、テンプレートとしてのプラスミドpCMV/myc/ER−225(scFv)[Shaki−Loewenstein,S.、Zfania,R.、Hyland,S.、Wels,W.S.&Benhar,I.、安定な細胞内抗体のための普遍的戦略、J Immunol Methods、303、19〜39(2005)]をプライマーの225−NdeI−FORおよび225−NotI−REVとともに使用するPCRによって回収した。PCR生成物をNdeIおよびNotIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpRB98−Amp発現ベクター[Nagata,S.他、ジスルフィド安定化Fvフラグメントを含有する新規な抗CD30組換えイムノトキシン、Clin.Cancer Res.、8、2345〜2355(2002)]の誘導体にクローン化した。(この誘導体では、scFvをクローン化するための3’末端部位として使用されるHindIII部位が、この誘導体を一般的なファージディスプレーベクターからのサブローニングのために適合可能にするようにNotI部位により置き換えられた)。得られたプラスミド(これはpRB98−Amp−225(scFv)−PE38と名づけられた)を、BL21(DE3)pUBS500細胞におけるscFv−PE38単鎖イムノトキシンとしての発現のために使用した[Brinkmann,U.、Mattes,R.E.&Buckel,P.、大腸菌における組換え遺伝子の高レベル発現はdnaY遺伝子産物の利用可能性に依存する、Gene、85、109〜114(1989)]。組換え単鎖イムノトキシンの発現、リフォールディングおよび精製を記載の通りに行った[Benhar,I.&Pastan,I.、単鎖イムノトキシンとしての抗炭水化物mAb(B1およびB5)のFvフラグメントのクローニング、発現および特徴づけ、Protein Eng、7、1509〜1515(1994);Buchner,J.、Pastan,I.&Brinkmann,U.、正しく折り畳まれた組換え融合タンパク質の収量を増大させるための方法:細菌の封入体の再生からの単鎖イムノトキシン、Anal Biochem、205、263〜270(1992)]。組換えイムノトキシンT427(dsFv)−PE38の発現、リフォールディングおよび精製を記載の通りに行った(Nagata,S.、Onda,M.、Numata,Y.、Santora,K.、Beers,R.、Kreitman,R.J.およびPastan,I.(2002)、ジスルフィド安定化Fvフラグメントを含有する新規な抗CD30組換えイムノトキシン、Clin.Cancer Res.、8、2345〜2355)。]
[0124] キメラIgG1を哺乳動物細胞において発現させるためのベクターの構築
重鎖ベクター:抗CD30抗体T427[Nagata,S.他、標識を用いない競合的免疫アッセイによるそれらのトポグラフィー的エピトープに基づくモノクローナル抗体の迅速な分類、J Immunol Methods、292、141〜155(2004)]のVH可変ドメインを、プラスミドpRB98Amp−T427VH(C44)−PE38(dsFv−イムノトキシンのVH−cys−PE38成分のための発現ベクター)をテンプレートとして使用するPCRによって回収した。T427のVHの5’末端側半分を、(dsFv立体配置においてcysに変異させられた)G44を復活させるプライマーのT427VH−BssHII−FORおよびT427VH−C44G−REVを使用して増幅した。T427のVHの3’末端側半分を、プライマーのT427VH−C44G−FORおよびT427VH−NheI−REVを使用して増幅した。得られたPCR生成物を一緒にし、プライマーのT427VH−BssHII−FORおよびT427VH−NheI−REVを使用して無傷のVHドメインに組み立てた。VHのPCR生成物をBssHIIおよびNheIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpMAZ−IgHベクター[Mazor,Y.、Barnea,I.、Keydar、I.&Benhar,I.、新規なIgG結合性トキシン融合体を使用して研究される抗体内部移行、J Immunol Methods、321、41〜59(2007)]にクローン化した。得られたプラスミド(pMAZ−IgH−T427)を使用して、T427の重鎖(配列番号1、配列番号2)をキメラなIgG1形式で哺乳動物細胞において発現させた。]
[0125] 軽鎖ベクター:抗CD30抗体T427のV−κ可変ドメインを、プラスミドpRB98Amp−T427VL(C105)(dsFv−イムノトキシンのVL−cys成分のための発現ベクター)をテンプレートとして使用するPCRによって回収した。T427のVLを、(dsFv立体配置においてcysに変異させられた)G105を復活させたプライマーのT427VL−BssHII−FORおよびT427VL−BsiWI−REVを使用して増幅した。VLのPCR生成物をBssHIIおよびBsiWIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpMAZ−IgLベクター(Mazor他、上掲)にクローン化した。得られたプラスミド(pMAZ−IgL−T427)を使用して、T427の軽鎖(配列番号3、配列番号4)をキメラなIgG1形式で哺乳動物細胞において発現させた。]
[0126] Inclonalを発現させるためのベクターの構築
重鎖ベクター:ヒトIgG1のC領域を有する抗CD30抗体T427のVH可変ドメインを、下記のように、pMAZ−IgH−T427(上記)から、T7に基づくIPTG誘導可能な細菌発現ベクターにサブクローン化した:重鎖全体を、テンプレートとしてのプラスミドpMAZ−IgH−T427をプライマーのCMV−SeqおよびCMV−antiseq−EcoRI−REVとともに使用するPCRによって増幅した。PCR生成物をPstIおよびEcoRIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpRB98Amp−T427VH(C44)−PE38ベクターにクローン化した。得られたプラスミド(pHAK−IgH−T427)は、T427の重鎖をキメラなIgG1形式で大腸菌において発現させるために使用することができる。VHドメインを、NdeI−NheIフラグメントとしてこのプラスミドに入れて交換することができる。T427inclonalの重鎖のDNA配列は、哺乳動物発現ベクターpMAZ−IgHによってコードされる重鎖配列(上掲)と同一である。]
[0127] 抗EGFR抗体225の重鎖を大腸菌において発現させるための類似プラスミドを下記のように構築した:VH可変ドメインを、テンプレートとしてのプラスミドpCMV/H6myc/cyto−225(Fv)[Shaki−Loewenstein,S.、Zfania,R.、Hyland,S.、Wels,W.S.&Benhar,I.、安定な細胞内抗体のための普遍的戦略、J Immunol Methods、303、19〜39(2005)]をプライマーの225VH−Ndel−FORおよび225VH−NdeI−REVとともに使用するPCRによって回収した。PCR生成物をNdeIおよびNheIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpHAK−IgH−T427ベクター(上記)にクローン化した。得られたプラスミドをpHAK−IgH−225と名づけた(重鎖、配列番号5、配列番号6)。]
[0128] 軽鎖ベクター:ヒトのC−κ領域を有する抗CD30抗体T427の軽鎖を、下記のように、pMAZ−IgL−T427(上記)から、T7に基づくIPTG誘導可能な細菌発現ベクターにサブクローン化した:軽鎖全体を、テンプレートとしてのプラスミドpMAZ−IgL−T427をプライマーのCMV−SeqおよびCMV−antiseq−EcoRI−REVとともに使用するPCRによって増幅した。PCR生成物をPstIおよびEcoRIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpRB98Amp−T427VL(C105)プラスミドベクターにクローン化した。得られたプラスミド(pHAK−IgL−T427)は、T427の軽鎖をキメラなIgG1形式で大腸菌において発現させるために使用することができる。VLドメインを、NdeI−BsiWIフラグメントとしてこのプラスミドに入れて交換することができる。T427inclonalの軽鎖のDNA配列は、哺乳動物発現ベクターpMAZ−IgLによってコードされる軽鎖配列(上掲)と同一である。]
[0129] 抗EGFR抗体225の軽鎖を大腸菌において発現させるための類似プラスミドを下記のように構築した:V−κ可変ドメインを、テンプレートとしてのプラスミドpCMV/H6myc/cyto−225(Fv)[Shaki−Loewenstein,S.、Zfania,R.、Hyland,S.、Wels,W.S.&Benhar,I.、安定な細胞内抗体のための普遍的戦略、J Immunol Methods、303、19〜39(2005)]をプライマーの225VK−Ndel−FORおよび225VK−BsiWI−REVとともに使用するPCRによって回収した。PCR生成物をNdeIおよびBsiWIで消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpHAK−IgL−T427ベクター(上記)にクローン化した。得られたプラスミドをpHAK−IgL−225と名づけた(配列番号7、配列番号8)。]
[0130] IgG−PE38融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築。重鎖または軽鎖−PE38融合タンパク質発現ベクターを、下記のように、HindIIIおよびEcoRIのクローニング部位を抗体の定常領域の3’末端に挿入することによって改変されたpHAKベクター(上掲)の骨格上で構築した:重鎖ベクターについては、クローニング部位を、テンプレートとしてのプラスミドpHAK−IgHをプライマーのRGD/TAT−BsrGI−FORおよびCH3−HindIII−EcoRI−REVとともに使用するPCRによって挿入した。軽鎖ベクターについては、pHAK−IgLを、プライマーのBsiWI−Back−IgLおよびCκ−HindIII−EcoRI−REVとともにテンプレートとして使用した。PCR生成物を、重鎖についてはBsrGIおよびEcoRIにより、軽鎖についてはSacI−EcoRIによりそれぞれ消化し、同じ酵素を使用して線状化されたpHAK−IgHベクターおよびpHAK−IgLベクターにそれぞれクローン化した。得られたベクターをHindIIIおよびEcoRIで線状化し、同じ酵素を使用してプラスミドpRB98Amp−T427VH(C44)−PE38から回収されたPE38DNAフラグメントと連結した。得られたベクターをpHAK−IgH−PE38およびpHAK−IgL−PE38と名づけた。]
[0131] 哺乳動物細胞におけるキメラIgGの発現。キメラなT427IgG1を、本質的には記載される通りに(Mazor他、上掲)、プラスミドpMAZ−IgH−T427およびプラスミドpMAZ−IgL−T427と共トランスフェクションされ、G418およびヒグロマイシンにより選択されたHEK293細胞において発現させた。高発現クローンを選択した後、そのクローンを、10%FBS、グルタミンおよび抗生物質が補充されたDMEMにおいて拡大培養した。集める72時間前に、細胞をDCCM1(血清非含有)培地(Beit−Haemek、イスラエル)に移した。培地を48時間〜72時間の間隔で数回集めた。IgGを、記載される通りに(Mazor他、上掲)、プロテインAクロマトグラフィーによって馴化培地から精製した。精製タンパク質のタンパク質濃度を、BSAを標準物とするBradfordアッセイ(Coomassie Plus;Pierce、Rockford、IL)によって、または、280nmにおける吸光度を求め、タンパク質濃度をその吸光係数に基づいて計算することによって求めた。精製IgGを4℃で貯蔵した。Cetuximab(登録商標)をMerckから購入した。]
[0132] 大腸菌におけるInclonalの発現。Inclonalおよびinclonal−PE38融合タンパク質を、発現ベクターにより形質転換された大腸菌BL21(DE3)pUBS500細胞[Brinkmann,U.、Mattes,R.E.&Buckel,P.、大腸菌における組換え遺伝子の高レベル発現はdnaY遺伝子産物の利用可能性に依存する、Gene、85、109〜114(1989)]において発現させた。IgGの産生のために、細胞をpHAK−IgHおよびpHAK−IgLにより形質転換した。IgG−(ジ)PE38の産生のために、細胞をpHAK−IgH−PE38およびpHAK−IgLにより形質転換した。IgG−(テトラ)PE38の産生のために、細胞をpHAK−IgH−PE38およびpHAK−IgL−PE38により形質転換した。細胞を、100μg/mlのアンピシリンおよび50μg/mlのカナマイシンが補充されたSB培地(35gr/Lのトリプトン(Difco、米国)、20gr/Lの酵母抽出物(Difco、米国)、5gr/LのNaCl、6.3gr/Lのグリセロール(Frutarom、イスラエル)、12.5gr/LのK2HPO4、3.8gr/LのKH2PO4、0.48gr/LのMgSO4、0.4%(w/v)のグルコース)において、250RPMで振とうしながら、37℃で成長させた。細菌の培養を、後期指数増殖期(2.5のOD600)におけるタンパク質発現のために1mMのイソプロピル−l−チオ−β−D−ガラクトピラノシドにより37℃で3時間誘導した。不溶性の封入体として蓄積した組換えタンパク質を、遠心分離によって、溶解された細菌細胞から単離した。500mlの培養物から、約3grの湿った細胞ペーストが集められた。細胞を、ティッシュマイザー(tissuemizer)を使用して、50mM Tris(HCl)(pH8.0)、20mMEDTAに懸濁した。細胞を溶解するために、リゾチームを500mg/Lの最終濃度に加え、細胞を25℃で1時間放置した。細胞溶解物を300mMのNaClおよび1.5%(v/v)のトリトンX100(SIGMA、イスラエル)に調節し、ティッシュマイザーを使用して破砕した。不溶性画分を4℃における30分間の10000RPM(GSAローター(Sorvall))での遠心分離によって集めた。この封入体粗調製物をさらに、同じ緩衝液(1%(v/v)のTritonX100を伴う)におけるさらに2サイクルのホモジネーション、それに続く遠心分離によって精製した。最後に、封入体を、界面活性剤を含まない同じ緩衝液においてさらに1回処理し、遠心分離によって集めた。封入体を、6Mグアニジン塩酸塩、50mM Tris(HCl)(pH8.0)、20mM EDTAにおいて完全に可溶化し、1:2の重鎖−軽鎖モル比で混合した。1リットルの振とうフラスコ培養液から、200mg〜300mgの可溶化された封入体タンパク質が日常的に得られた。その後、この封入体ミックスを、25℃で2時間、10mg/mlのジチオエリトリトール(SIGMA、イスラエル)(65mM)により還元した。]
[0133] 具体的には、50mgの可溶化された重鎖タンパク質(50kDaのMW)を、リフォールディング混合物として還元される前に、50mgの可溶化された軽鎖タンパク質(25kDaのMW)と混合した。PE38融合タンパク質の場合には、相対的な比率を分子量に合わせて調節した。例えば、約70mgの可溶化された重鎖−PE38融合タンパク質(68kDaのMW)を約30mgの可溶化された軽鎖(25kDaのMW)と混合した。]
[0134] 可溶化されている還元されたタンパク質を、レドックスシャフリング添加物および凝集防止添加物を含有するリフォールディング溶液(0.1MのTris(HCl)(pH9.5)、2mMのEDTA、0.9mMの酸化型グルタチオンおよび105gr/LのL−アルギニン)に1:100で希釈することによって8℃で36時間リフォールディングした。リフォールディング後、タンパク質を、リン酸塩/尿素緩衝液(Na2HPO4およびNaH2PO4を含有する20mM、ならびに、100mMの尿素)に対して、7.4の最終pHになるまで徹底的に透析した。その後、リフォールディングされた活性なタンパク質を、0.45μmのフィルターを使用してフィルター滅菌し、プロテインAクロマトグラフィーによって、混入している細菌タンパク質、過剰な軽鎖および不適切に折り畳まれたタンパク質から分離した。精製IgGを4℃で貯蔵した。典型的には、50mgの重鎖を50mgの軽鎖タンパク質と混合することによって開始されるリフォールディングから、15mgに至るまでの純粋なInclonalを得ることが可能である。]
[0135] 抗EGFR225Inclonalを、pHAK−IgH−225およびpHAK−IgL−225を有する細胞の培養物を使用して同じ方法で作製した。]
[0136] IgG−ZZ−PE38免疫複合体の調製。chT427IgGまたはch225IgGと、ZZ−PE38融合タンパク質との免疫複合体を、本質的には記載される通りに(Mazor他、上掲)、IgGをZZ−PE38融合タンパク質と混合し、免疫複合体をSuperdex200(Amersham Pharmacia Biotech、現在は、GE healthcare(米国))ゲルろ過クロマトグラフィーによって精製することによって行った。]
[0137] ゲルろ過クロマトグラフィー。キメラIgGの分析的分離を、供給者の推奨法に従って、30mlのTSK3000カラム(TosoHaas、日本)を高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)(Pharmacia LKB−Pump−P500)で使用するゲルろ過クロマトグラフィーによって行った。約200マイクログラムのサンプルを500μlにおいて負荷し、PBSを0.5ml/分の流速で緩衝液として用いた。]
[0138] ELISAおよび全細胞ELISAによる抗原結合の評価。キメラIgGによる抗原結合を下記のようにELISAで調べた:ELISAプレートを、PBSにおける5μg/mlのMBP−CD30の溶液により4℃で20時間被覆し、PBSにおける3%(v/v)脱脂乳により37℃で1時間〜2時間ブロッキング処理した。すべてのその後の工程は室温(25℃)で行った。プロテインA精製されたIgGまたはIgG−PE38融合タンパク質を5倍希釈系列でプレートに加え、MBP−CD30と結合するそれらの親和性について調べた。インキュベーション後、プレートをPBSTにより3回洗浄した。HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒト抗体(IgGの場合)、または、HRPコンジュゲート化ヤギ抗マウス抗体と混合されるマウス抗PE血清(IgG−PE38融合タンパク質の場合)を、PBSTにおいて5000倍希釈で希釈された二次抗体として使用した。ELISAを、発色性HRP基質のTMBを使用して発色させ、発色を1MのH2SO4により停止させた。結果を450nmにおける吸光度としてプロットし、結合アビディティーを、最大シグナルの50%を生じさせるIgG濃度として大まかに推定した。]
[0139] 225InclonalおよびCetuximab(登録商標)による細胞EGFR結合を下記のように全細胞ELISAによって調べた;ヒト類表皮ガンA431細胞を、96ウエルプレートに、10%FBSが補充されたDMEMにおいて2X104細胞/ウエルの密度で16時間播種した。培地を吸引し、細胞を、25℃で15分間、3%グルタルアルデヒドにより固定処理した。ウエルをPBSにおける3%(v/v)脱脂乳により37℃で1時間〜2時間ブロッキング処理した。次いで、IgGを、PBS+3%BSAにおける5倍希釈系列でウエルに加え、25℃で1.5時間インキュベーションした。細胞をPBS+3%BSAにより3回洗浄した後、100μlのHRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒト(PBS+3%BSAにおける5000倍希釈)を25℃で1時間加えた。洗浄サイクルをさらに1回行った後、細胞と結合した抗体の検出を、発色性HRP基質のTMBをそれぞれのウエルに加えることによって行い、発色を1MのH2SO4により停止させた。吸光度を、マイクロプレートリーダーを使用して450nmで測定した。]
[0140] フローサイトメトリー。細菌または哺乳動物により産生されたchT427IgG1を用いた、A431/CD30トランスフェクション細胞[Rozemuller,H.、Chowdhury,P.S.、Pastan,I.&Kreitman,R.J.、ファージディスプレーによるDNA免疫化マウスからの新しい抗CD30scFvの単離および短縮型シュードモナス菌体外毒素との融合によって作製される組換えイムノトキシンの生物学的活性、Int J Cancer、92、861〜870(2001)]において発現するCD30に対する、T427に基づく分子の結合分析を、フローサイトメトリーによって調べた。イムノチューブ(immunotube)(5mlのポリスチレンチューブ、Nunc、スウェーデン)におけるおよそ5x105個の細胞をそれぞれの実験において使用した。トリプシン処理の後、細胞をPBSにおける2%のウシ胎児血清(FACS緩衝液)で1回洗浄した。次いで、キメラIgGをPBS+3%BSAにおいて10nMの最終濃度で加え、細胞を4℃で1.5時間インキュベーションした。その後、細胞をFACS緩衝液により3回洗浄し、FITC標識されたヤギ抗ヒト抗体(PBS+3%BSAにおける50倍の希釈)を適切なチューブに4℃で45分間加えた。結合した抗体の検出をFACS−Calibur(Becton Dickinson、CA)でのフローサイトメトリーによって行い、結果をCELLQuestプログラム(Becton Dickinson)により分析した。特異性を確認するために、抗体を、1.5時間のインキュベーション期間の期間中に、30倍過剰の競合タンパク質とともに、または、競合タンパク質を伴うことなくインキュベーションした。]
[0141] A431細胞において発現するEGFRに対する、225に基づく分子の結合分析を、同じ様式で行った。]
[0142] 細胞生存性アッセイ。キメラなIgG−ZZ−PE38免疫複合体のインビトロ細胞殺傷活性およびIgG−PE38融合タンパク質のインビトロ細胞殺傷活性をMTTアッセイによって測定した。被試験細胞を、10%FBSが補充されたDMEMにおいて1x104細胞/ウエルの密度で96ウエルプレートに播種した。免疫複合体、IgG−PE38融合タンパク質またはコントロールタンパク質を10倍希釈系列で(三連で)加え、細胞を5%CO2雰囲気において37℃で48時間インキュベーションした。48時間後、培地を、1mg/mlのMTT(チアゾリルブルーテトラゾリアムブロミド、PBSに溶解)試薬を含有する新鮮な培地(100μl/ウエル)によって取り換え、細胞をさらに4時間インキュベーションした。MTT−ホルマザン結晶を、20%SDS、50%DMF(pH4.7)(100μl/ウエル)を加え、37℃で16時間インキュベーションすることによって溶解した。570nmでの吸光度を自動マイクロタイタープレートリーダーで記録した。結果が、下記の式を使用して、同時に処理された非処理コントロールに対する生細胞の百分率として表される:(処理サンプルのOD570/非処理サンプルのOD570)x100。IC50値を、細胞成長を50%阻害した免疫複合体濃度またはIgG−PE38融合タンパク質濃度として定義した。]
[0143] 血清におけるIgG安定性の評価
Inclonal IgG T427の安定性を、哺乳動物細胞の培養で産生された対応するchT427IgGの安定性と比較するために、血清中での安定性アッセイを下記のように行った:IgGを100%のウシ血清(Beit Haemek、イスラエル)において30μg/mlの最終濃度に希釈し、示された期間、37℃でインキュベーションした。それぞれの一部分のMBP−CD30に対する残存結合活性を、上記で記載されるようにELISAによって評価した。]
[0144] 結果
本発明の教示は、本明細書中では「Inclonal」とも呼ばれる、大腸菌における全長型IgGおよび全長型IgG−トキシン融合タンパク質のための非常に効率的な産生方法を提供する。この方法は、タンパク質を不溶性の封入体として発現させること、その後、リフォールディングすることを伴う。T7に基づくベクターシステムを、IgG重鎖、IgG軽鎖、あるいは、短縮型形態のシュードモナス菌体外毒素A(PE38)に融合される対応する重鎖または軽鎖を別々に発現させるために構築した。発現ベクターは、哺乳動物細胞でのIgG発現システムの構築のために使用される定常領域と同一であったヒトγ1重鎖およびヒトκ軽鎖の定常領域を含有した[Mazor,Y.、Barnea,I.、Keydar、I.&Benhar,I.、新規なIgG結合性トキシン融合体を使用して研究される抗体内部移行、J Immunol Methods、321、41〜59(2007)、図1]。] 図1
[0145] モデル抗体は抗CD30抗体T427であった[Nagata,S.他、標識を用いない競合的免疫アッセイによるそれらのトポグラフィー的エピトープに基づくモノクローナル抗体の迅速な分類、J Immunol Methods、292、141〜155(2004)]。T427を、上記で記載されたように発現ベクターにクローン化し、産生させた。キメラなT427Inclonalの高度に精製された調製物の高収量が得られた(図2a〜図2b)。比較のために、哺乳動物細胞により産生されたキメラなT427IgG(T427chIgG)の回分処理物を、本質的には記載[Mazor他、2007、上掲]の通りに調製した。細菌により産生されたInclonalを、ゲルろ過クロマトグラフィー、抗原結合特性および細胞殺傷活性によって、哺乳動物細胞により産生されたIgGと比較した。精製されたT427InclonalのアリコートをTSK3000カラムでのゲルろ過クロマトグラフィーによって分析した。示されるように(図3)、T427Inclonal(147500の計算されたMW)がモノマーとしてカラムから溶出した。コントロールの、哺乳動物細胞により産生されたmAbであるCetuximab(登録商標)(151800の計算されたMW)は、おそらくは、大腸菌により産生されたIgGには存在しない翻訳後修飾(グリコシル化)のために、わずかにより大きいモノマータンパク質として移動した。抗原結合をELISAおよびフローサイトメトリーによって調べた。図4aに示されるように、T427Inclonalは、哺乳動物細胞培養で産生された対応するT427chIgGに対する類似したアビディティーによりELISAにおいて可溶性抗原と結合した。同様に、同一の結合特性をCD30発現細胞に対するフローサイトメトリー分析において認めることができた(図4b1)。結合特異性を、(図4b2)に示されるように、(上記で記載されるように調製される)T427(dsFv)−PE38組換えイムノトキシンによるT427Inclonalの結合シグナルの競合によって明らかにすることができた。Inclonal抗体が腫瘍細胞をインビトロで標的化することができるかを、(Mazor他(2007、上掲)に記載されるように)抗体結合性トキシン融合タンパク質(ZZ−PE38)との複合体を形成することによって評価した。細胞毒性評価ではまた、T427Inclonalが、哺乳動物細胞により産生された抗体の成績に匹敵することが明らかにされた(図4c)。] 図3
[0146] したがって、本発明の教示は、細胞毒性成分に遺伝子融合される全長型IgGを作製するための機会を提供し、また、結果として、IgG−酵素融合タンパク質を検討するための機会を提供する。T427Inclonalのシュードモナス菌体外毒素融合タンパク質を調製した。2つの誘導体を調製した;T427(ジ)−PE38誘導体(PE38が抗体の重鎖に融合される)およびT427(テトラ)−PE38(PE38が抗体の重鎖および軽鎖の両方に融合される)。これらのInclonal−トキシン融合誘導体はそれらの分子量において異なり(ジトキシンについては約225kDaであり、テトラトキシンについては約300kDaである)、また、それぞれの結合事象のために送達されるトキシン分子ペイロードの数において異なる(図5a)。T427(ジ)−PE38およびT427(テトラ)−PE38はともに、高純度(図5b〜図5c)で、かつ、IgGInclonalについて得られる収量と類似する高い収量で産生された。これらの新規なタンパク質をそれらの結合特性およびそれらの細胞殺傷活性について評価した。示されるように(図6a)、T427(ジ)−PE38およびT427(テトラ)−PE38の両方についてのELISAシグナルから評価されるような見かけの結合親和性は約0.2nMであり、これは、(図4aに示される)T427InclonalおよびT427chIgGの見かけの結合親和性と類似している。両方のIgGが、対応する一価の組換えイムノトキシンであるT427(dsFv)−PE38の親和性よりも10倍大きかった見かけのアビディティーで結合した。]
[0147] T427(ジ)−PE38inclonal−トキシン融合タンパク質およびT427(テトラ)−PE38inclonal−トキシン融合タンパク質の細胞殺傷能を、培養されたCD30発現細胞に対して調べた。図6bに示されるように、両方の分子が約30pMのIC50により標的細胞の成長を阻害し、これに対して、一価のイムノトキシンであるT427(dsFv)−PE38は約60pMのIC50を有した。]
[0148] さらなる例として、抗EGF受容体抗体225のInclonal誘導体を作製した。MAb225は、治療用抗体Cetuximab(登録商標)が由来した元のマウスモノクローナル抗体である[Rowinsky,E.K.、erbBファミリー:ガンに対する治療剤開発のための標的ならびにモノクローナル抗体およびチロシンキナーゼ阻害剤を使用する治療戦略、Annu Rev Med、55、433〜457(2004)]。225Inclonalを、抗原結合特性について(図7a〜図7b)、また、ZZ−PE38免疫複合体としての細胞殺傷活性について(図8a〜図8c)、Cetuximab(登録商標)と比較した。図7a〜図7bに示されるように、225InclonalはCetuximab(登録商標)の親和性の約1/10の親和性でEGFR発現細胞と特異的に結合した。同様に、225Inclonal−ZZ−PE38免疫複合体は、高EGFR発現A431細胞株および低EGFR発現293細胞株の両方に対する細胞毒性活性を有したが、これは、Cetuximab(登録商標)−ZZ−PE38免疫複合体の約1/10の強さであった(図8a〜図8c)。この違いは、225mAbとの比較においてCetuximab(登録商標)について報告される報告された10倍の親和性増大と一致している[Rowinsky他、上掲]。]
[0149] InclonalIgGT427の性状を、哺乳動物細胞培養で産生された対応するchT427IgGの性状とさらに比較するために、血清中での安定性アッセイを下記のように行った:IgGを100%のウシ血清(Beit Haemek、イスラエル)において30μg/mlの最終濃度に希釈し、示された期間、37℃でインキュベーションした。それぞれの一部分のMBP−CD30に対する残存結合活性を、図4aにおいて記載されるようにELISAによって評価した。図9a、図9bに示されるように、哺乳動物細胞により産生されたchT427IgGと、T427Inclonalとは同等に安定であり、結合活性を37℃での4日の試験期間にわたって全く失わなかった。]
[0150] 本発明の実施形態は、抗体の重鎖および軽鎖の大腸菌産生による封入体をリフォールディングすることによって全長型IgGおよび全長型IgG−トキシン融合タンパク質を製造するために開発された発現プロトコルおよび精製プロトコルを明らかにする。このプロトコルを使用することによって、1リットルの振とうフラスコ培養液からの、50mgに至るまでの純粋なIgGの収量、および、高度に精製された生成物を得ることができた。Inclonalは、結合特性において、同様にまた、トキシンを培養された標的細胞に送達するそれらの能力において、従来の哺乳動物細胞培養を使用して産生された同じIgGの成績と等しかった。]
[0151] 本明細書中に記載されるInclonal技術は、全長型抗体を製造するための迅速、かつ、一般に適用可能な、潜在的に費用のかからない方法を提供する。治療目的、診断目的または研究目的のために潜在的に使用され得る抗体のほとんど(例えば、ウイルス中和抗体、積み荷を標的細胞に運ぶために使用される抗体、または、二重特異的抗体など)は、効果的であるためにはFcのグリコシル化に依存しない。そのうえ、本発明の実施形態はコンジュゲートの不均一性の問題を解決しており、このことは広範囲の様々な細胞毒性タンパク質に関して適用可能であるにちがいない。研究目的のために、現在、ヒトのプロテオームを詳しく研究するためのタンパク質特異的な親和性試薬を作製することが非常に求められている。更新可能な抗体を作製するためのハイスループット方法は依然として未完成である[Uhlen,M.、Graslund,S.&Sundstrom,M.、ヒトタンパク質に対する親和性試薬を作製するためのパイロットプロジェクト、Nat Methods、5、854〜855(2008)]。「Inclonal」技術によって作製することができる抗体−酵素融合タンパク質または抗体−蛍光団融合タンパク質は、そのような目的のために非常に有用になり得る。この迅速かつ費用効果的なIgG製造プロセスおよびIgG−融合タンパク質製造プロセス、ならびに、得られる生成物の高品質は、全長型IgGおよび全長型IgG−融合タンパク質の細菌での産生を抗体作製のための実行可能かつ魅力的な選択肢にし得ると考えられる。]
[0152] 本発明の実施形態は、改変された発現−リフォールディングシステムが大腸菌における全長型IgGの効果的な産生を可能にすることを明らかにする。この新規なシステムを適用することによって、2つの異なる抗体、すなわち、抗CD30 T427抗体および抗EGFR225抗体を得ることが可能であった(より多くの抗体を得ることが可能であったが、これらについてはデータが示されない)。封入体からの抗体鎖の製造プロセスでは、多量の比較的純粋なタンパク質が明らかにされた。リフォールディングおよび精製のプロセス全体は、1リットルの振とうフラスコ培養液からの、50mgに至るまでのIgGタンパク質で終了した。これは、低密度培養での抗体産生のための細菌発現システムを使用する以前には報告されなかった収量である。これらの産生収量は、工業的実験室とは対照的に、高密度発酵装置を一般には備えていない研究実験室に利益をもたらし得る。このシステムのもう1つの重要な利益が、最終生成物の純度である;プロテインA精製の後、モノマー形態の抗体が、注目すべきことに、得られた主要な形態である。精製されたタンパク質は、(以前の研究(Simmons(2002、上掲)およびMazor(2007、上掲))では認められた)部分的に組み立てられた化学種をほとんど含まない。時間消費における大腸菌での製造システムの利点はかなりであった。トランスフェクションから高発現クローンの選択を介し、クローンの拡大を介して、IgG精製までの哺乳動物システムにおける全プロセスが、最も良い場合で約8週間を要し、一方、形質転換からリフォールディングを介してIgG精製までの細菌システムでは、ほんの約8日〜9日を要しただけであった。]
[0153] 本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。]
実施例

[0154] 本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。]
[0155] 配列番号1及び5は、225 Inclonal重鎖ポリヌクレオチド配列である。
配列番号2は、T427重鎖ポリペプチド配列である。
配列番号3は、T427軽鎖ポリヌクレオチド配列である。
配列番号4は、T427軽鎖ポリペプチド配列である。
配列番号6は、225 Inclonal重鎖ポリペプチド配列である。
配列番号7は、225 Inclonal軽鎖ポリヌクレオチド配列である。
配列番号8は、225 Inclonal軽鎖ポリペプチド配列である。
配列番号9は、T427 Inclonal重鎖−PE38融合タンパク質DNAコーディング配列である。
配列番号10は、T427 Inclonal重鎖−PE38融合タンパク質配列である。
配列番号11は、T427 Inclonal軽鎖−PE38融合タンパク質DNAコーディング配列である。
配列番号12は、T427 Inclonal軽鎖−PE38融合タンパク質配列である。
配列番号13は、CD30細胞外ドメインコーディング配列である。
配列番号14は、CD30細胞外ドメインポリペプチド配列である。
配列番号15〜32は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。]
权利要求:

請求項1
免疫グロブリンを細菌培養において産生させる方法であって、(a)第1の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの軽鎖を含む第1のポリペプチドを、前記免疫グロブリンの軽鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;(b)第2の細菌宿主細胞において、免疫グロブリンの重鎖を含む第2のポリペプチドを、前記免疫グロブリンの重鎖を含む封入体を形成させるように発現させること;(c)再構成された重鎖および再構成された軽鎖を得るように、前記封入体から前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドを回収すること;および(d)前記再構成された重鎖および再構成された軽鎖を、前記再構成された軽鎖および前記再構成された重鎖を主に無傷の免疫グロブリンとしてリフォールディングすることを可能にする条件のもとでリフォールディングすることを含む方法。
請求項2
前記条件は約1:2の重鎖−軽鎖モル比を含む、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記第1の細菌宿主および前記第2の細菌宿主のそれぞれがグラム陰性細菌に属する、請求項1に記載の方法。
請求項4
前記グラム陰性細菌は大腸菌である、請求項3に記載の方法。
請求項5
前記免疫グロブリン分子をプロテインA/G/Lで精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項6
2.5のO.D.600を誘導時に有する場合、重鎖の1リットルの細菌培養液あたり少なくとも50mgの精製された免疫グロブリン分子の収量を有する、請求項1に記載の方法。
請求項7
前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドの少なくとも一方が治療用成分を含む、請求項1に記載の方法。
請求項8
前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドの少なくとも一方が確認用成分を含む、請求項1に記載の方法。
請求項9
主に前記無傷の免疫グロブリンとして前記リフォールディングすることが、免疫グロブリンの少なくとも80%を前記無傷の免疫グロブリンとして含む、請求項1に記載の方法。
請求項10
前記重鎖はγファミリーに属する、請求項1に記載の方法。
請求項11
前記軽鎖はκファミリーに属する、請求項1に記載の方法。
請求項12
前記軽鎖はλファミリーに属する、請求項1に記載の方法。
請求項13
請求項1〜12のいずれかに記載の方法に従って産生される免疫グロブリン。
請求項14
グラム陰性調製残留物と、少なくとも90%の免疫グロブリンとを含む組成物。
請求項15
最大でも10%の免疫グロブリンフラグメントを含む、請求項14に記載の組成物。
請求項16
前記免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgEおよびIgGからなる群から選択される、請求項1に記載の方法または請求項14もしくは15に記載の組成物。
請求項17
前記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4を含む、請求項16に記載の方法または組成物。
請求項18
前記免疫グロブリンは、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト型抗体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法または請求項14もしくは15に記載の組成物。
請求項19
前記免疫グロブリンは二重特異的抗体である、請求項1に記載の方法または請求項14もしくは15に記載の組成物。
請求項20
前記免疫グロブリンは、霊長類免疫グロブリン、ブタ免疫グロブリン、マウス免疫グロブリン、ウシ免疫グロブリン、ヤギ免疫グロブリンおよびウマ免疫グロブリンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法または請求項14もしくは15に記載の組成物。
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引用文献:
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